最近、身体を動かしたのはいつですか?
時間や場所、身体に痛みがある場合や、モチベーション等、様々な問題から、運動は難しいと感じている人が多いと思います。
しかし、健康な身体を維持・増進させていくのに運動は効果的です。
運動には、大きく有酸素運動と無酸素運動に分かれており、それぞれに特徴があります。
あなたの目的によって、内容を変えることで、理想的な身体作りを効率的に行うことができます。
これから身体を動かしていきたいけど、どんなことをやったらいいかお悩みの方、ご参考ください。
最近ジムに入会したんだけど、何をやったらいいか分からなくてさ~
ジムや自宅でできる有酸素運動と無酸素運動のメニューも紹介していくよ!
有酸素運動と無酸素運動の違いについて
有酸素運動と無酸素運動の違いを4つのポイントから具体的に紹介していきます。
- エネルギーの供給
- 筋肉の種類
- 消費カロリー
- 心拍数
まずは有酸素運動と無酸素運動の違いを確認していこう!
身体を動かすという意味では同じ運動だよね?何が違うのかな?
エネルギーの供給
私たちの身体は、主に炭水化物・タンパク質・脂質の3大栄養素からエネルギーを得ています。
これから紹介する3つの経路でエネルギー源となるATP(アデノシンサンリンサン)を作ります。
大きく分けると、「無酸素性エネルギー代謝」と「有酸素性エネルギー代謝」によってエネルギーが作られています。
無酸素性エネルギー代謝
まずは「ATP-CP系」です。
筋肉の中に貯蔵されているATPを使うことによって、即座に強い力を発揮することができます。
しかし、筋肉(骨格筋)にあるATPは、ごく僅かとなっているため、すぐに力が出なくなってしまいます。
そこで、筋肉にあるクレアチンがリン酸と結合し、クレアチンリン酸を作ることでATPを再合成することができます。
ただし、クレアチンリン酸を貯蔵することができる量も僅かとなっているため、持続可能な時間は8~10秒位といわれています。
この経路は酸素を代謝の過程で必要としないので嫌気的代謝といわれるよ!ちなみに次の解糖系も同じだよ
次に「解糖系」です。
筋肉に貯蔵されている糖質(グリコーゲン)を使ってエネルギーにしていきます。
グリコーゲンがピルビン酸や乳酸に分解される過程で、ATPが作られます。
解糖系での持続可能な時間は30~60秒位といわれています。
解糖系を逆にして、ピルビン酸からグルコースを再合成するのを糖新生というよ!またはアミノ酸やグリセロールからもグルコースを再合成できるんだよ!
糖を新しく作るから「糖新生」って、なんかそのままだね…
まぁね…でも、この反応があることで、ある程度の時間、糖質を取らなくても血糖値を維持することができるよ
なるほど。身体の中で新しく作るほど糖質って必要なエネルギーなんだね。人の身体ってすごい!
有酸素性エネルギー代謝
最後に「TCA回路(クエン酸回路)」になります。
主にミトコンドリアの中で行われます。
この代謝の中で、クエン酸が化合物として発生するので、「クエン酸回路」ともいわれています。
先ほどの解糖系で作られたピルビン酸や、脂肪が分解されて(遊離脂肪酸)生成されたアセチルCoAがTCA回路に取り込まれます。
その後に、電子伝達系に入ることで、多くのATPが再合成されます。
この過程の中で酸素が使われるので、好気的代謝といわれます。
大きなパワーを発揮することはできませんが、多くのエネルギーを作ることができるので、長い時間、動き続けることができます。
有酸素運動をすることで痩せるというのは、このTCA回路で脂質を代謝することができるからです。
なるほど。ガンガンTCA回路を回して脂質を消費する方法が知りたいです!
そこで、このTCA回路が効率的に働いてくれるとようにするポイントが2つあります。
- 糖質を制限しすぎない
- ピルビン酸をアセチルCoAに変えるのにビタミンB1を摂る
ビタミンB1は糖代謝必須ビタミンともいわれているよ!
先ほどの解糖系で糖質(グルコース)は、ピルビン酸に代謝されることで、TCA回路に入ります。
太ることを気にして糖質を制限しすぎると、脂質の代謝まで悪くなってしまう可能性があります。
また、ビタミンを摂ることも意識しましょう。
以下は、ビタミンB1が多く含まれる食材例になります。
「豚肉・赤身肉・マグロ・玄米・ナッツ・アスパラガス・ほうれん草・アボカドなど」
筋肉の種類
筋肉は繊維状になっており、筋繊維(筋肉の組織)は、大きく「速筋」と「遅筋」に分かれています。
割合については、個人差があるので、一概にはいえません。
しかし、速筋も遅筋もトレーニング次第で効率的に鍛えることはできます。
速筋100%の男になりたいです!
100%は難しいけど、割合が多いところは、トレーニング方法を工夫することはできるよ!
速筋
速筋は、白い繊維が多いので白筋とも呼ばれています。
瞬間的に大きな力やスピードを発揮する運動の時に、動員される筋繊維になります。
最大限にパワー発揮ができる時間は8~30秒とされており、その後は酸素を取り込む必要があります。
無酸素運動では、主に速筋を鍛えることができます。
効果的なトレーニング方法としては、高重量・低回数(1~8回)で行うようにしましょう。
なお、年齢を重ねていくと衰えやすいともいわれているため、高齢の方にも筋力トレーニングは有効とされています。
特に、速筋が多い部位は「上腕三頭筋・大腿四頭筋・大胸筋」になります。
短距離走とか筋トレとかの激しい運動をすると息がゼエゼエするけど、これって速筋を使った時なのかな?
そうだね、運動の強度が高くなって、酸素の供給が間に合わない時でも運動を続けることができるのは「無酸素代謝」をしているからなんだよ!
息がゼエゼエするのは、身体に必要な量の酸素が足りていない状態も動いたからで「酸素負債」というよ。安静時の状態に戻すために、一定時間は息が荒くなるんだよ
遅筋
遅筋は、赤い繊維が多いので赤筋(せっきん)と呼ばれています。
持続的にパワーを発揮する時に、動員される筋繊維となっています。
有酸素運動では、主に遅筋を鍛えることができます。
効果的なトレーニング方法としては、低負荷・高回数(10~20回)で行うようにしましょう。
年齢を重ねても衰えにくい筋肉といわれています。
特に、遅筋が多い部位は「大殿筋・ハムストリングス・ヒラメ筋」になります。
遅筋には、酸素を蓄えているミオグロビンというたんぱく質が多く含まれているので、赤い色をしているよ!酸素をたくさん蓄えているので、エネルギーを多く作り出すことができるよ
あ~、なるほど。マグロとかカツオが赤いのはそういうことなんだね!
消費カロリー
次に、有酸素運動と無酸素運動の消費カロリーの違いについてになります。
有酸素運動の代表種目であるランニングと、無酸素運動の代表種目である筋トレ(スクワット)を30分間行った際のカロリーを比較します。
昨日のポテチ3袋とコーラ2Lのカロリーを消費するには、有酸素運動と無酸素運動のどっちがいいの?
オッケー、チェックしていこう!
有酸素運動 (ランニング:6.4km/時、107.3m/分) |
無酸素運動 (スクワット:ゆっくりあるいは瞬発的な努力で) |
|
体重50kg | 157.5kcal | 105kcal |
体重60kg | 189kcal | 126kcal |
参考:身体活動のメッツ表
メッツは運動の強度を数値化したものになります。
ランニングのメッツ数値は7.0、スクワットは5.0ということで、ランニングと筋トレは、同じ時間であれば有酸素運動の方がカロリー消費は大きくなります。
しかし、ランニングはもっとスピードを落とすと、メッツが下がります。
また、筋トレはフリーウエイトやマシンを使用するとメッツは6.0と上がります。
さらに、特にハードな筋トレ(最大心拍数が80%以上になるような息がゼエゼエするような内容)の運動をすることによって、トレーニング後もカロリー消費が続くということもあります。(アフターバーン効果)
以上より、有酸素運動と無酸素運動は、実施する内容・時間・強度によってカロリー消費量は変わります。
有酸素運動と無酸素運動は、カロリー消費だけで判断するのではなく、あなたの筋力・体力・確保できる時間なども考慮して選ぶようにしましょう。
消費カロリー=(運動時のMETsー1METs)×体重×時間×1.05
カロリーを消費しようと思ってキツイ運動を頑張っても、短い時間しか続けられないなら、できる運動を長く続ける方が、結局は消費できるということなんだね!
そうだね!運動はマイペースに継続することが大切だと思うよ!
心拍数
私たちの心拍数は、通常の状態で60〜80回/分が平均とされています。
運動をすると心拍数は、上がるのですが、その最大値である最大心拍数は年齢によって異なります。
まずは、以下の計算式に合わせて、計算をしてみてください。
最大心拍数=220ー年齢
【例】
年齢 | 最大心拍数 | 60% | 80% |
30歳 | 190 | 114 | 152 |
35歳 | 185 | 111 | 148 |
40歳 | 180 | 108 | 144 |
45歳 | 175 | 105 | 140 |
50歳 | 170 | 102 | 136 |
最大心拍数に対するパーセンテージで、運動の種類と強度を測ることができます。
- 有酸素運動の心拍数の目安は、最大心拍数の40〜60%前後になります。
- 無酸素運動の心拍数の目安は、最大心拍数の80〜90%以上になります。
先ほどの例で考えてみましょう。
有酸素運動としてのランニングも、心拍数が上がりすぎてしまうと有酸素運動ではなく、無酸素運動になってしまいます。
運動経験が豊富な人であれば、無酸素運動としてのスクワットをやろうとしても、心拍数があまり上がらない場合もあるかもしれません。
大切なのは、自分の筋力や体力に応じて内容を考慮することです。
有酸素運動の範囲から、無酸素運動に変わってしまう運動強度の値を無酸素性代謝閾値(AT:Anaerobic Threshold)というよ!
最初はゆっくりランニングをしていたけど、途中から少しずつ速くランニングして息が上がるような場合のことだね!
ハァハァ…これはもう…無酸素運動だ~
自分のレベルにあった運動強度の決め方
では、自分のレベルにあった有酸素運動または無酸素運動をする基準はどのように決めたらよいのでしょうか?
自覚的運動強度(または主観的運動強度)という表があります。
自分の感覚で運動時のツラさを数字で表したものになります。
また、この数字を10倍すると、ほぼ心拍数になるように工夫されています。
13あたりになると、無酸素性代謝閾値になるとされています。
なお、New Borg Scale(新しい表)では、数字を10倍にするとその運動が今の能力をどれ位発揮しているか分かるようになっています。
Borg Scale
20 | |
19 | very very hard(非常にきつい) |
18 | |
17 | very hard(かなりきつい) |
16 | |
15 | hard(きつい) |
14 | |
13 | somewhat hard(ややきつい) |
12 | |
11 | fairly light(楽である) |
10 | |
9 | very light(かなり楽である) |
8 | |
7 | very very light(非常に楽である) |
6 |
New Borg Scale
・ | maximal |
10 | very very strong |
9 | |
8 | |
7 | very strong |
6 | |
5 | strong |
4 | somewhat strong |
3 | moderate |
2 | weak |
1 | very weak |
0.5 | very very weak |
0 | nothing at all |
このように、運動の強度を数値化することによって、今のあなたにとって適切な有酸素運動と無酸素運動をすることができます。
厚生労働省によると、体力(全身持久力や筋力等)の向上や運動器の機能向上のためには、4メッツ時/週に相当する運動を1回あたり30 分以上、週2日以上の運動が最低限必要であると言われています。
まずは、有酸素運動・無酸素運動にこだわらずに、興味のある運動から始めてみてはいかがでしょうか。
自覚的運動強度(または主観的運動強度)のことをRPE(rate of perceived exertion)というよ
俺は限界突破するぜ!
…おぉ!頑張ろう!!
参考:運動基準・運動指針の改定に関する検討会及び報告書より(厚生労働省)
参考:自覚的運動強度(日本スポーツ協会)
運動の例
最後に運動の例になります。
先ほど、紹介したように内容によって区別し難いところもありますが、一般的な例になります。
参考にしてみてください。
なるほど。モテる運動ってどれかなぁ~
……。
有酸素運動
- ダンス
- ウォーキング
- エアロバイク
- クロストレーナー
- サイクリング
- サッカー
- ステッパー
- テニス
- トランポリン
- ランニング
- 水泳
- バドミントン
- バスケットボール
- ボクシング・ボクササイズ
- ヨガ
- ピラティス
無酸素運動
- 筋トレ
- 陸上競技(短距離走)
- 競泳
- スピードスケート
- レスリング
- 相撲
- 柔道
- 空手
- ウエイトリフティング(重量挙げ)
【目的別】有酸素運動と無酸素運動の選び方
ここからは有酸素運動と無酸素運動の特徴を踏まえて、あなたの目的に合わせたメニューをご紹介していきます。
どんな運動をしたらいいかお悩みの方、是非参考にしてみてください。
えぇ~っと…ダイエットと筋トレと体力つくりと~…うん!全部!!
……。
体力をつける
体力をつけていきたい人は、全身持久力をつける運動をすることがオススメになります。
よって、有酸素運動を中心にした運動をしましょう。
さらに、足腰の筋力アップもしていくことで、より効果を実感することができます。
週2〜3回の運動を継続していくことがポイントになります。
なお、20分間の連続した運動でなければならないということではありません。
忙しい人は、隙間の時間を上手に使う工夫が必要です。
まずは、一駅分、歩いてみるなど、無理せず出来ることから始めていきましょう。
1日目 | 2日目 | 3日目 |
ウォーキング 合計10分 早歩き 合計10分 |
スクワット 10回・2セット ランニング 合計15分 |
ウォーキング 合計20分 |
ダイエット
ダイエットをしたい人は、身体の代謝を上げて、脂肪を落としていく運動がオススメです。
身体の代謝を上げるには、筋肉をつけて基礎代謝を上げるために無酸素運動を中心にしましょう。
脂肪を落としていくには、有酸素運動が効果的です。
よって、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせるようにしてみましょう。
今回は、運動初心者さんが自宅でも出来るメニューをご提案します。
なお、食事の管理も重要になっていきます。
極端な制限ではなく、バランスの良い食事をすることで健康的に身体を引き締めていくことができます。
1日目 | 2日目 | 3日目 |
スクワット10回・3セット ラジオ体操 ウォーキング10分 |
腹筋10回・3セット 腕立て伏せ10回・3セット ランニング15分 |
プランク30秒・3セット ヨガ10分 ウォーキング20分 |
筋力アップ
筋力アップをしたい人は、筋肉をつけるための運動がオススメになります。
よって、無酸素運動を中心にしていきましょう。
無酸素運動は、ダンベル等を使うことで自宅で行うことも可能です。
慣れてきたら、負荷を上げていく必要があるため、ジムに通うことがオススメです。
今回は自宅でもできる運動をご紹介していきます。
1日目 | 2日目 | 3日目 |
スクワット10回・3セット 腕立て伏せ10回・3セット |
腹筋10回・3セット 背中の筋トレ10回・3セット |
片足スクワット10回・3セット バービージャンプ10回・3セット |
トレーニング種目については、こちらのブログもご参考ください。
有酸素運動と無酸素運動を効果的に使い分けましょう
有酸素運動と無酸素運動の違いについて、いかがでしたか?
運動を習慣にしなければいけないと分かっていても、なかなか続けることが難しいのが現状です。
有酸素運動でも無酸素運動でも、楽しく続けられるようにする工夫が必要です。
1人で頑張ろうとせずに、家族や友人と一緒に始めてみるのもオススメです。
トレーニングジムでは、有酸素運動であるバイクや、無酸素運動である筋トレが一緒にできるので、効率的に身体を鍛えることができます。
横浜トレーニングスタジオLESTAでは、あなたの健康のため、運動習慣をつけることをサポートしています。
女性スタッフが常駐しており、運動初心者さんでも安心です。
一緒に有酸素運動も無酸素運動も楽しんでいきましょう!
どうぞお気軽にお問い合わせください。
最後までお読み頂きありがとうございました。