パワーリフティングは、競技人口の増加に伴い、今日も選手の白熱した戦いが繰り広げられています。
全日本大会への出場資格である標準記録は、少しずつ上方修正されており、日本におけるパワーリフティングのレベルは上がってきているといえるでしょう。
しかし、日本のパワーリフティングは、まだ他のメジャースポーツと比べても歴史が浅く「知らない」という方も多いと思います。
このブログでは、これまでのパワーリフティングの歴史から、今後の日本パワーリフティング界における期待の選手まで、幅広くご紹介していきます。
パワーリフティングを知るキッカケとなれば嬉しく思います。
これからの日本パワーリフティング界を牽引する次世代のスターは、あなたかもしれません。

パワーリフティングって聞いたことないな~

スクワット・ベンチプレス・デットリフトの3種目の合計を競うスポーツだよ!詳しくみていこう!
日本におけるパワーリフティングの歴史
パワーリフティングの発祥は「アメリカ」で、1956年(昭和31年)にペンシルベニア州で第1回全米パワーリフティングコンテストが開催されたことが最初とされています。
その後、日本では1972年(昭和47年)に日本パワーリフティング協会(JPA)が創設されたことで、正式な競技として実施されました。
第1回全日本パワーリフティング選手権大会は、3種目1回の挙上方式で実施されたようです。
その2年後、日本パワーリフティング協会は、国際パワーリフティング連盟(IPF)に加盟したことで世界選手権に参加できるようになりました。

年代別に主な事項をまとめてみたよ!
1956(昭和31)年 | 第1回全米パワーリフティングコンテストが開催(アメリカ・ペンシルベニア州) |
1971(昭和46)年 | 国際パワーリフティング連盟(IPF)が結成され各国に普及していく |
1972(昭和47)年4月 | 日本パワーリフティング協会(JPA)が創設 |
1974(昭和49)年 | JPAは、国際パワーリフティング連盟(IPF)に加盟して世界選手権大会に初参加 |
1994(平成6)年 | (財)日本体育協会に正式加盟 |
1998年(平成10)年 | 神奈川国体 デモンストレーション競技として参加 |
1999(平成11)年 | 社団法人格を取得し、公益社団法人日本パワーリフティング協会発足 |
2015(平成27)年 | 和歌山国体 公開競技として参加 |
参考:大阪府パワーリフティング協会・笹川スポーツ財団より
公益社団法人 日本パワーリフティング協会とは
では、公益社団法人 日本パワーリフティング協会とは、どのような組織なのでしょうか?
協会概要を紹介していきます。

公益社団法人??

不特定多数が恩恵を受けるような公益性の高い事業を行う非営利の民間組織のことをいうよ!
名称 | 公益社団法人日本パワーリフティング協会 (JAPAN POWERLIFTING ASSOCIATION) |
所在地 | 〒678-0239 兵庫県赤穂市加里屋 98-16 2F |
電話/FAX | 0791-43-2000/ 0791-43-2020 |
メール | powerlifting@japan-sports.or.jp |
公式HP | https://www.jpa-powerlifting.or.jp/ |
設立の目的 | 我が国におけるパワーリフティング競技を統括し、かつ、代表する団体としてパワーリフティング競技の普及及び振興を図り、もって国民の体力の向上と心身の健全な発達に寄与することを目的とする(定款第3条)。 |
日本では、パワーリフティングを統括する団体は1つしかなく、全ての運営に関しては、この公益社団法人日本パワーリフティング協会を通すことになっています。
会長は古城資久さん、副会長は伊差川浩之さんとなっています(2023年時点)
古城さんは、2009年、2010年、2012年、2013年に世界マスターズベンチプレス選手権大会にて優勝。
伊差川さんは、パワーリフティング世界選手権大会にて幾度となく優勝した世界的にも有名な選手となっています。
お二人とも、選手を経験したことがあるからこそ、選手の気持ちを優先することができる運営が可能となっているのではないでしょうか。
47都道府県(一部を除く)には支部があり、大会の運営や審判員の派遣等、パワーリフティングに関わる方への環境整備がされています。
日本のパワーリフティング競技人口
それでは、現在パワーリフティングの競技人口は何名くらいになるのでしょうか?
またその背景にはどのような理由があるのか考察していきたいと思います。

パワーリフティングの競技人口ってどれくらいいると思う?

う~ん……
まずは、以下にブロック別の選手登録者数をまとめてみました(2022年時点)
2021年に登録した合計人数は3,365名ということでした。
ちなみに前年度は2,010名でした。
2020年は新型コロナウイルスの影響で大会が開催できない時期もあった為、登録者数が減少したのだと思います。
その前の年(2019年)は3,000名前後となっているので、ここ数年は平均して3,000~3,500名位の方が選手登録者をしています。
やはり関東エリアは、群を抜いて登録者数が多くなっています。
特に、東京都パワーリフティング協会では、始めたばかりの人も大会に出場しやすいように新人戦を開催する等の工夫がされていることも影響しているように思います。
次に、全体の登録者数の内訳を見てみましょう。
団体所属の選手がほとんどを占めています。
団体とは、グループを作って日本パワーリフティング協会に登録をする形で大会に出場する形のことです。
団体に登録するメリットとして、選手登録費が安くなったり団体戦にエントリーすることが可能となります。
ただ、2020年を除いて団体の登録数は増えていません。
つまり、団体登録で出場している人は、新しく団体を登録するのではなく、既に団体登録しているところに入会し、そこから大会に出場している方が多い印象です。
一方、個人登録(団体に所属せずに登録している人)は、2018年から増加傾向にあります(2020年除く)
各地に24時間ジムが増えてきていることでトレーニングを始める方が増えて、パワーリフティングジムに入会せずに大会に出場されている方が多くなってきているようです。
パワーリフティングの楽しみ方はそれぞれであり、大会に出場することだけが全てではないと思っています。
つまり、パワーリフティングのトレーニングをしていても「大会には出場しない」という方も多く、潜在的にはもっと多くの人がパワーリフティングを楽しんでいるということが予想されます。
今はSNSでの発信が増えており、今後もトレーニング及びパワーリフティングを趣味とする方が増えていくかもしれません。
全国のパワーリフティングジムを紹介しています。こちらもご参考ください。
世界大会からみる日本のパワーリフティングの記録と順位
現在の日本パワーリフティングのレベルは、世界と比べてどうなのでしょうか?
世界大会の結果から、日本の順位を確認してみます(敬称略)
今回はクラシック大会に限定してご紹介しています。

過去6年間で8位までに入賞した一般部門の人をピックアップしてみたよ!

世界大会で入賞ってすごい!
2022年 | 南アフリカ | 一般男子59kg級 海老原孝晴 |
スクワット 200kg ベンチプレス 135kg デットリフト 220kg 合計 555kg |
2位 |
2022年 | 南アフリカ | 一般男子66kg級 牛山恭太 |
スクワット 232.5kg ベンチプレス 170kg デットリフト 282.5kg 合計 685kg |
3位 |
2019年 | スウェーデン | 一般男子59kg級 久恒歩 |
スクワット 205kg ベンチプレス 137.5kg デットリフト 245kg 合計 587.5kg |
3位 |
2019年 | スウェーデン | 一般男子66kg級 池上宏樹 |
スクワット 200kg ベンチプレス 135kg デットリフト 252.5kg 合計 587.5kg |
7位 |
2018年 | カナダ | 一般男子59kg級 海老原孝晴 |
スクワット 180kg ベンチプレス 135kg デットリフト 215kg 合計 530kg |
6位 |
2018年 | カナダ | 一般男子74kg級 比嘉善浩 |
スクワット 276kg ベンチプレス 152.5kg デットリフト 272.5kg 合計 701kg |
3位 |
2018年 | カナダ | 一般男子105kg級 武田裕介 |
スクワット 295kg ベンチプレス 217.5kg デットリフト 292.5kg 合計 805kg |
7位 |
2018年 | カナダ | 一般女子47kg級 可児理恵 |
スクワット 115kg ベンチプレス 70kg デットリフト 150kg 合計 335kg |
7位 |
2017年 | ベラルーシ | 一般男子59kg級 海老原孝晴 |
スクワット 190kg ベンチプレス 130kg デットリフト 200kg 合計 520kg |
7位 |
2017年 | ベラルーシ | 一般男子66kg級 池上宏樹 |
スクワット 202.5kg ベンチプレス 132.5kg デットリフト 242.5kg 合計 577.5kg |
8位 |
2017年 | ベラルーシ | 一般男子74kg級 比嘉善浩 |
スクワット 202.5kg ベンチプレス 132.5kg デットリフト 242.5kg 合計 577.5kg |
4位 |
2017年 | ベラルーシ | 一般女子47kg級 可児理恵 |
スクワット 115kg ベンチプレス 75kg デットリフト 142.5kg 合計 332.5kg |
6位 |
直近6年間で、世界大会で入賞した人は男性6名、女性1名でした。
ここ数年は、3位までに入賞する人が増えてきているところから、日本のパワーリフティングはレベルが高くなってきていることが分かります。
特に2022年の牛山さん、2019年の久恒さんは過去に世界大会に出場しているわけではありませんでした。
初出場で緊張などもある中、素晴らしい記録を出し、3位に入賞されています。
このような形で入賞する人がいるということは、努力のし甲斐がありモチベーションが高まりますね。
もしかしたら、数年以内に優勝をする人が出てくるかもしれません。
期待が高まります。
パワーリフティングの階級についてはこちらのブログもご参考ください。
日本国内のパワーリフティング有名選手
先ほど紹介した世界大会入賞者を始めとして、日本国内にはパワーリフティングで優秀な成績を納めている人がいます。
順番にご紹介していきます。

俺だぜ!!

……。
牛山 恭太さん
画像:BURSTLIMIT HPより
氏名 | 牛山 恭平さん |
生年月日 | 1997年8月10日 |
階級 | 男子 66kg級 |
所属 | BURSTLIMIT |
成績 | 2022年 世界クラシックパワーリフティング選手権 66kg級 3位 2023年 全日本クラシックパワーリフティング選手権大会 66kg級 優勝 |
各種SNS | YouTube パワーチューブ |
彗星のごとく登場したパワーリフティング界の超新星。
2017年から始めたところ、初戦の北海道大会では2位、翌年には全国大会で優勝と次々にタイトルを獲得し、2022年の世界選手権において3位入賞と素晴らしい成績を収められました。
この成績によって、2323年3月イギリスのシェフィールドにて公認アパレルメーカーであるSBDとIPFで共同開催された「Sheffield Powerlifting Championships 2023」に唯一アジア人で選抜されました。
YouTubeチャンネル「パワーチューブ」では仲間と一緒にパワーリフティングの魅力や練習の様子を更新しており、人気のチャンネルとなっています。
ボディビル大会にも出場されているということで、これからも多方面での活躍が期待されています。
佐竹 優典さん
画像:青学+より
氏名 | 佐竹 優典さん |
生年月日 | 1996年 |
階級 | 男子 66kg級 |
所属 | TXP |
成績 | 2022年 全日本パワーリフティング選手権大会 66kg級 優勝 2022年 世界パワーリフティング選手権大会 66kg級 3位 2022年 ワールドゲームス ライトクラス 優勝 |
各種SNS | Instagram Satake Yusuke |
学生時代から競技を始めているため、若きベテラン選手です。
主にエクイップ(専門の装備あり)の大会に出場されており、世界大会でも入賞されています。
4年に1回、ワールドゲームスという世界大会で上位入賞した選手しか出場することができない大会が開催されるのですが、昨年は他国の強豪選手と熾烈な戦いの末、「優勝」されています。
トレーニングの様子については、頻繫にInstagramを更新されているので、チェックしてみてください。
福島 友佳子さん
画像:福島友佳子さん公式サイトより
氏名 | 福島 友佳子さん |
生年月日 | 1970年 |
階級 | 女子 47kg級 |
所属 | パワーハウス赤穂 |
成績 | 2022年 全日本パワーリフティング選手権大会 47kg級 優勝 2022年 ワールドゲームス ライトクラス 優勝 |
各種SNS | 公式サイト 福島友佳子 |
競技歴31年。
まさに日本パワーリフティングを牽引してきた女性選手です。
これまでの世界大会では、昨年で6度目の優勝を果たしており、2012年にはIPFより殿堂入りされました。
昨年のワールドゲームスにおいては、6度目の出場で悲願の優勝を成し遂げました。
これは日本人女性初の快挙となります。
旦那さんがコーチをされており、まさに二人三脚で歩んできた道です。
これからの活躍にも注目が集まります。
日本のパワーリフティングを盛り上げよう
パワーリフティングは、まだ認知度が高いスポーツであるとはいえません。
しかし、フリーウエイトの代表種目であることで、「それぞれの種目(スクワットやベンチプレス)についての認知度は高い」という少し特徴的な競技だと思っています。
日本のパワーリフティングは、まだまだこれから更に盛り上がっていくことでしょう。
あなたもパワーリフティングの魅力にハマる1人になるかもしれません。
そんなパワーリフティングのことについて、今回のブログで少しでも深く知ってもらえたら嬉しく思います。
また、分からないことは当スタジオへお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
パワーリフティングの細かいルール等、詳細についてはこちらもご参考ください。